評価:(3.0)
見る前も観た後も物足りない。
そんな結論に至ってしまう劇場アニメ『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』→青ブタ映画2、を遂に観てきたからレビューを執筆していく。
軽いネタバレがあるから、本当に楽しみたい方は本作品を観た後に読んでほしい。
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青ブタが面白くある理由は完璧
青ブタが面白くある理由、それはきっと「妙な日常感」だろう。
あのアニメなのか現実なのかわからなくなるテンポ。
深夜に見ると妙に何か悟ってしまうストーリー。
明るくも暗くもない雰囲気。
笑いはしないけど心が躍る会話。
例えば、化学室での梓川咲太と双葉理央の会話シーンがまさに。
「ビーカーでお湯を沸かして、インスタントコーヒーを作って飲む。飲みながら思春期症候群を中心にボケとツッコミがある会話をする。」
現実にこんなシチュエーションはありない。でも何か心地が良い。
出来るだけ会話で魅せて、BGMを抑える。あまり絵の明るさを上げない。
これこそが妙な日常感。
この青ブタの「妙な日常感」は青ブタ映画2でも発揮されていた。気持ちいいほどに。
物足りない理由
ではなんで結論が「物足りない」になってしまったのか、青ブタ映画2のストーリーに触れながら語っていきたい。
長すぎるタイトル「青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない」でわかる通り、シスター(梓川花楓)が題材のストーリーだ。
もう少し掘り下げると、「高校受験を控えた梓川花楓が思春期症候群によって作られた梓川かえでの過去と今を巡って色々苦闘する物語」。
我ながらにしていい概要が出来たというのは置いておいて、この物語を計73分紡いでいく。
この73分が物足りない理由。ただ誤解をしてほしくないのが、「五等分の花嫁映画のように136分の放映時間にしろ」というわけではなく映画なのが問題。
梓川咲太は「あの時、あぁ思っていたからあの行動をしていたのか」「否定が…できない…頭ごなしに…」色々気づいていく。
この部分が青ブタ映画2の最大の視聴者とリンクする部分であり、感情移入できる部分なんだが、これをたった約30分で行う。
「もう見た」「へぇー」「辛いな」
実際には、魅せ方を工夫しているからこんな冷淡な感想にはならない。でも、これに近い感想を持ってしまう。泣くことは絶対にできない。
つまり純粋にストーリーが薄いというか足りない
「高校受験を控えた梓川花楓が思春期症候群によって作られた梓川かえでの過去と今を巡って色々苦闘する物語」
作家になったつもりでこの概要から何が起きるのか想像してほしい。その想像したものが青ブタ映画2。
期待を裏切る展開0。え?っていう展開0。
途中に書いた通り、妙な日常感が面白い理由ではあるんだけれども、それはストーリーのいわゆる筋がないと成立しない。
満足感が観た後にない。アクションであれば迫力のあるBGMと作画で強制的に「おっ!」とさせられるかもしれない。恋愛系であればむず痒くなるほど胸がキュンキュンする。
でもそれは青ブタにはない。
今までは思春期症候群で誤魔化していたが、それすらもない。言ってしまえば後遺症。
改善案
私にとって批判とは自分が何か改善案があるからできる行為だと思っているから、今回の青ブタ映画2はどのようにしたらもっと良かったのか?を書いていこうかと思う。
結論としてはかえで(パンダ)をどうにかしてもう一度復活させるべきだった。これに近い部分として作品では峰ヶ原高校に受かったというのがあるけどしょぼい。
なんで青ブタ映画1が面白かったかって奇想天外。妙な日常感に訳の分からない異分子を組み合わせることでワクワクした。でも今回、全てが想定通り。知ってる。受験を1度でもしたことがあるなら知ってる。
ということでかえでを無理やりにでも復活させるべきだった。
ただそうなると原作を改変どころの話ではなくなるとわかっているから、やっぱり今回の話は映画ではなくOVAもしくは今冬に上映予定のランドセルガール(青ブタ映画3)とくっつけるべきだったのかなと思う。
これはこれで収益的な面で厳しいのかもしれないけど。
指摘は間違っていなかった、パンフレット掲載インタビュー
ネタバレありレビューを書いている時に、出来る限り正しい表現にするためにパンフレットを読み漁っていたのだが、私が思っていた事、全てパンフレットに掲載されていた監督✕構成家インタビューに書いていた。
本来は20分×3で作ろうと思っていた、尺調整が難しいから古賀を出そうか、青ブタ映画1は尺が足りなかった、雰囲気大事!
駄作とまでは絶対に言えないが、少なくとも映画でやる内容ではなかったから、暇な時があれば「久しぶりに映画行くか―」みたいなノリで観に行くと楽しめると思う。