【短話】なぜKDDIは「dアニメストア」の商標を持っていたのか

「dアニメストア」といえばNTTドコモの定額アニメ配信サービスだが、実はこの商標、最近まで通信キャリアとしてライバルなKDDI株式会社が所有していた。

その根拠として、譲渡される2024年1月までは、NTTドコモの様々なプレスリリースで「※「dアニメストア」は、KDDI株式会社の商標です。」が確認できる。

では、なぜKDDIが所有していたのか。

商標登録された当時を振り返ると、NTTドコモ側は2010年前後、現dマーケットを「ドコモマーケット」として展開しており、「d」の略称をまだ使用していなかった。

一方で、KDDI側は前身のDDI、KDD、IDOの合併から約8年後の2008年に「Dアニメ」を商標取得しており、前身企業の名残として「Dブランド」でコンテンツ事業を展開する構想があってもおかしくない状況だった。そんな中で、構想の一環として「Dアニメ」を商標として押さえるというのは不思議な話ではない。

つまり、ブランド競合を強く意識したわけではなく、嫌がらせでもなく、単純に先取りのために取得した商標だったのだろう。

その後、NTTドコモが「dアニメストア」を展開する際は、KDDIとのライセンス契約により使用が許諾されたと考えられる。

時系列

2000年10月 DDI、KDD、IDOが合併(後のKDDI株式会社)
2008年5月 KDDIが「Dアニメ」の商標登録
2010年12月 ドコモマーケットのサービス開始
2012年7月 dマーケット内でアニメストアをサービス開始
2012年9月22日 NTTドコモが「d○○」の商標を多数登録
2013年1月21日 KDDIが「dアニメストア」の商標登録
2013年1月30日 dマーケット内のアニメストアをdアニメストアに名称変更
2019年10月 NTTドコモはKDDIの所有していないバッジ・枕カバー等の商標として「dアニメストア」を登録
2024年1月 KDDIからNTTドコモへ「Dアニメ」「dアニメストア」商標が移転(譲渡)